À l'avenir~柳瀬ゴロー公式ブログ

柳瀬ゴローです。FMふじやま、TOKYO854でパーソナリティを務めております。番組のお知らせや川のことなどを綴っております。

「第13回川でつながる発表会」開催される

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 11日、所沢市のラーク所沢で、新河岸川流域川づくり連絡会主催「第13回 川でつながる発表会」が開催された。

「川でつながる発表会」は、新河岸川流域内の小学生から大学生までが取り組んだ、水に関する学習や研究、ボランティア活動の成果を発表する会だ。

 

午後からの発表会に先立ち、午前中は現地見学会が行われた。

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ラーク所沢からバスで巡り、砂川堀流域の湧水や、地域の歴史、治水対策について学ぶというもの。

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 最初にふじみ野市にある「大井弁天の森」を訪ねた。 「大井弁天の森」周辺は、3.13haの貴重な武蔵野の自然林が残されており、特別緑地保全地区に指定されている。現在は循環水を用い、かつての姿を再現しているが、その昔は湧水が湧いていたそうだ。

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 見学会に同行した、法政大学水文地理学研究室による、砂川堀流域の水質調査も併せて行われた。

「大井弁天の森」から、三芳町の多福寺へ移動した。

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三富新田開拓民の菩提寺として建立された多福寺。 現在は使われていないが、多福寺境内に井戸がある。かつては枯れない井戸として、開拓民には無くてはならない存在だったそうだ。

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 干期に他の井戸が枯れても、多福寺の井戸は枯れることはなかったとのこと。

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多福寺に続き、砂川堀の調節池である、下富調節池を訪ねた。

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砂川堀は、所沢市堀之内に源を発する。早稲田大学所沢キャンパス敷地内の沢から自然河川となり、国道463号線「誓詞橋」(せいしがはし)付近から、「砂川堀雨水幹線」(都市下水路砂川堀という呼び方もある)となり、埼玉県の管理となる。尚、上流部は「砂川」という名称で、所沢市管理の普通河川である。

 

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砂川堀と言えば、西武池袋線ガードから所沢市小手指町2丁目付近で毎年3月下旬から4月上旬に見頃を迎える枝垂れ桜である。

〔砂川掘のしだれ桜〕
埼玉県所沢市小手指町2丁目https://goo.gl/maps/AKBD41gN6i42

 

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下富調節池は、砂川堀の洪水対策のために設置されている。戦後、砂川堀が増水した際、米軍基地からの油分を含んだ汚水が大量に流れ込み、下富付近でその汚水が畑に流入。農家に大打撃を加えたことがあったそうだ。そのために、下富調節池が設置されたとのこと。(計画貯留量94,000立方メートル)

 

砂川堀は、河川ではなく、雨水幹線(都市下水路)であるため、治水対策に重きを置いている。しかし、小手指の枝垂れ桜など、場所によっては景観を意識しており、見所はある。今後、治水と親水が両立し、より景観を意識した水辺になって欲しいと願うばかりだ。

 

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午前中に見学会が終わり、午後から発表会が始まった。自由学園高等科1年 川管理グループによる「立野川のいきもの〜生物多様性の視点から考える」は、大変良く調べられていた。目を引いたのが、自由学園敷地内を流れる、立野川に棲息する特定外来生物「オオカワヂシャ」駆除の様子や、アメリカザリガニを料理する様子である。中国でアメリカザリガニが養殖され、食材として珍重されていることは知っているが、自由学園の生徒は、親御さん協力の元、素晴らしい料理を作ったようだ。今後更なる前進が期待できる。

自由学園高等科に続き、埼玉県立川越女子高等学校生物部による「新河岸川周辺の河川における外来生物カワリヌマエビ属・在来ヌカエビの分布調査」が発表された。赤間川や、赤間川が新河岸川と名を変える一級河川起点付近、入間川高麗川など、広域的に調査が行われ、外来種であるカワリヌマエビ属の分布、在来種のヌカエビに及ぼす影響が詳細に調査されていた。

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 川越女子高等学校に続き、早稲田大学理工学部 大堀 總教授による「狭山丘陵と所沢と雑木林と川〜樽井戸川源流部の涵養林である雑木林の萌芽再生」が発表された。

狭山丘陵の成り立ちや、狭山丘陵特有の雑木林の様子と変化について、詳細な発表がなされ、出席者も熱心に耳を傾けていた。様々な要因により、雑木林の木々にも変化が生じ、萌芽再生を実施しなければいけなくなった経緯を踏まえ、我々も雑木林の変化に日々目を配らなければいけないことを認識した。

 

休憩を挟み、所沢市立上山口中学校による「柳瀬川の水質と環境」が発表された。柳瀬川上流部の大鐘橋から安松橋までの各地点で水質調査が行われ、水質の変化で、生活排水がどれくらい柳瀬川に流れ込んでいるかが、よく分かった。一級河川柳瀬川の起点である大鐘橋では平均4.6ppm、新川橋で平均4ppmなのに対し、児泉橋では平均8ppmと、値が上昇。つまり、新川橋と児泉橋の間で生活排水が流れ込んでいることが考えられる。上山口中学校生徒からは、生活排水をできる限り川へ流さないための方策が示されたが、やはり地域、そして自治体が一体となり、取り組む必要がある。上山口中学校からの発表は、一石を投じる素晴らしいものだった。

 

 

 最後は、法政大学 水文地理学研究室による「身近な水環境の全国一斉調査の水質分析結果から見た新河岸川流域の地域特性」が発表された。

 

大変興味深い内容だったので、法政大学の発表については、今年の全国一斉調査後、改めて取り上げたいと考える。

 

 発表会が終了し、2階会場で交流会となった。国土交通省荒川下流河川事務所や、所沢市新河岸川流域川づくり連絡会、各学校によるパネルが展示され、法政大学による「正しい水質調査の方法」、新河岸川流域川づくり連絡会による紙芝居、流域誌をつくろう!など、学び楽しめ、そして交流できる、絶好の機会となった。

 

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「川でつながる発表会」は、新河岸川に接続する各河川における利点や問題点を、様々な視点から学べる機会である。

 

今回学んだことを、川づくり・清瀬の会における活動にフィードバックし、川に対する造詣をさらに深めようと決意した次第だ。